る検証により、日本沿岸各海域における一人当直システムの完成を目指していきたい。
2、荷役自動化システム
現状の荷役は、人間の目、手、耳をベースとして、これにルールおよび慣熟性を加えて、ほぼ反射運動的判断・操作により遂行されたマン・マシン・システム(人間と機械からなりたっている方式)である。
一昔前は荷役遂行を阻害する大きな要因は、機器トラブルであったが、その弱点が徐々に改善され現状におけるその要因は、荷役効率を求められるため、人間要因に依存する部分のウエートが大きくなっている。
この面の解決には、システムにおける機械と人間の役割分担上、機械で代替えできる部分を機械化・自動化にまかせ、まだ人間を必要とする高次元判断・作業は人間側とし、安全をすべてのベースとする上で、コストと信頼性を考慮し、バランスさせた経済性のある自動システムが良いとされている。
本研究では、ハード、ソフトおよびシステム等の各種トラブル、不備等から抽出し、それぞれに対して装置側、運用体制面等からシステム全般の改善・対策を実施した。システム全体を監視・操作する人間の信頼性向上は、極めて重要なことである。この信頼性向上のポイントはインターフェースの良さにかかっている。
本研究は、マン・マシン・インターフェース(人間と機械間をとりもつ装置)のあり方を検証することに努力すると同時にシステム構成機器の単体故障による荷役停止および捜査員の混乱を未然に防止し、システムの信頼性確保のため、重要機器の二重化構成、艤装施工方法等の改善、事前保全計画の策定、当直者の居眠り・不在等の対策を実行した。これらにより信頼性評価計算・FTA解析を実施し、定量的評価を行った。
このシステムにより、荷役当直を二人で現状より極めて安全に実施できることを検証し、所期の目標に沿った結果を得た。一方、荷役担当者に操作訓練の機会をより多く提供するために、船上訓練用シミュレーターの実用化を図り、乗組員が早期に習得できるよう配慮した。なお、このシステムに近い内航船が数隻竣工した。
3、着離・係船システム
操船者に大きな負担となっている着離桟作業は、その内容が複雑かつ専門的で多くの経験が必要であり、残念ながら着離桟のトラブルは後を断たない。
その要因は、着離浅海域の自然環境の問題、桟橋の強度、フェンダーの不足、操船ミス、本船搭載設備の不十分、タグボート支援の適切な対応不足等が挙げられる。
これには、桟橋設備の改善と本船操船設備の能力を含めた総合対策が必要である。前者は構造物の強度アップ、ミズハンドリンクに対して十分な緩衝能力のあるフェンダーまたは陸側主導による係船機器および支援装置の配置、自然環境の把握・表示する装置、十分な水深の確保等が挙げられる。後者は、本船側として係船設備の改良、外乱に耐えうる能力およびこれらを統合する簡便なる操船支援システムの搭載が挙げられる。
今回の研究は、自己完結型により本船側の操船能力を向上させ、着離桟の安全性向上を中心に実施した。
内航船の着離桟は、大きな横流れを伴う低速域での船体運動制御と、多くの人手を要する組線的行動の統括を、余裕の少ない環境下で、短時間のうちに効率よく並行着桟を実施しなければならず、大きな心理的負担(プレッシャー)と技量が要求される。年に約四百回以上の着離桟を繰り返しタグボートの支援の少ない内航船にとって、簡便でヒューマンエラーの発生しにくい安全性、信頼性の高い着離桟支援システムが望まれる。
これの代表的なものとして、ジョイ・スティック・コントロールシステム(JCS)がある。操船者が望む船体操縦を一本のジョイ・スティック・レバー(JL)でバウスラスター、推進プロペラ、舵などのアクチュエータ(作動装置)を複合連動させ行うもので、これは操船者の負担と学習の必要性が少ないことが示されている。
将来目指す究極の着離システムは、全自動システムであるが、これの測位装置として数センチが必要である。これはK・GPS等必要でこれの利用は数年先であると予想
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